おぎじぃ式命名

ここからはじまる、あなたの命名物語

この「きれいな石」は、誰の物語なんだろう...

朝の浜辺で拾った小さな石を、
ぼんやり眺めていた

光を浴びて、
ひとしずくの命が七色に溶けていく

出会った瞬間、時が息を止めた

これはきっと、運命がそっと仕掛けた奇跡

でも、こんなに美しいのに
そこに私の存在は刻まれていない

静寂の夜、
ろくろの前で、ひとり粘土をこねる

不器用な指が
沈黙の中で祈りを紡いでいく

まだ世界に馴染めない輪郭が
静かに息づいていた

それでも
指先に残るぬくもりだけが知っている

「これは、私の時間と願いで生まれたもの」

湯呑を手に取るたび
迷った日も
笑った日も
釉薬(うわぐすり)の下に沈んで、光になる

海の石は、完璧だ

出会いはドラマチックで、友だちに自慢したくなる

けれど

時間がたつと心の中で
やがて輝きを失っていく

「もっときれいな石、どこかにあるかもしれない...」

湯呑は、不格好だ

写真映えはしないけれど
触れるたびに手になじんでいく

そのぬくもりが、日々の物語に寄り添っていく

ふと気づく

手間って、かけた分だけ、ぬくもりがじんわり返ってくるんだと

運命は、誰かがくれた物語
でも、手間は、自分で紡ぐ物語

比べてみると

海の石は「発見」
湯呑は「創造」

海の石は「偶然のギフト」
湯呑は「心の証」

海の石は「完成の美」
湯呑は「未完成の誇り」

海の石は「瞬間の感嘆」
湯呑は「日々の愛着」

海の石は「誰かの物語」
湯呑は「私の物語」

どちらも美しい

でも、深く育つのは、手をかけたほうだ

名前も、同じじゃないだろうか

「カワイイ名前を見つけた」

「珍しい名前を見つけた」と

胸をときめかせる瞬間は、たしかにある

けれど、

それは海の石に似ている

偶然の輝きで心を打つけれど

あなたの「手のぬくもり」は、そこにはない

一方で、

読みから

呼び名から

漢字から

願いから

指先を土に沈めるように

少しずつ形にしていく

最初は歪(いびつ)で、迷いも混じる

でも、その迷いこそが、親になる物語だ

「完成されたもの」を与えるより

「不完全を抱きしめる勇気」を贈る

それが、名づけの本質だと思う

名前は「海で拾う石」ではなく

「自分で焼く湯呑」であってほしい

美しさは偶然でも手に入る

けれど、ぬくもりは手間の中でしか育たない

一文字

一音

一つの願い

あなたの想いを土に混ぜ

息づく誇りを、子どもに手渡そう

完璧じゃなくていい

少しいびつで、あたたかい

使うほど

味わうほど

家族の物語がしみ込んでいく

そんなお子さまを、いつまでも暖め続ける

「湯呑みのような名前」を、いっしょに

その名を通して、想いは、静かに息づき続ける

だから

この手間を、

人は愛情と呼びます